一時的な人工肛門(ストーマ、ストマ)の生活とその後
以前、直腸神経内分泌腫瘍(NET、旧名 直腸カルチノイド)の追加の直腸切除とリンパ節郭清と一時的回腸ストマの造設までについての記事を書きました。
「続きはいつか書く。」といって、しばらく間が空いてしましました。今回は、その後の一時的な人工肛門(ストーマ、ストマ)がある生活や、その後の流れについて、わたしの体験と直腸NET同期たちからの情報をもとに書いてみたいと思います。
なお、わたしは医療関係者ではありません。本記事は、公開されている情報や自身の経験に基づき執筆したものです。記載された内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な助言、診断、または治療の代替となるものではありません。直腸神経内分泌腫瘍(NET/NEN)に関する正確な診断や治療方針については、必ず専門の医師にご相談ください。本記事の内容を基に行われた判断や行動によって生じた結果について、わたしは一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
直腸切除と回腸ストマ造設からの退院
退院時の状況は個人差があります。
わたしの場合は、軽度のイレウス(腸閉塞)になったことから、おなかが張って、なんとも言えない苦しみが続いていて、あまり、病院内でも動いていなかったので、体力的にもかなり落ちた状態で、寝たり起きたりの状態でした。
人によっては、ご自身の足で、電車に乗って自宅に戻られるような方もいて、そこは年齢や大腸の吻合部やそのほかの傷の状況、ストマの状況で、いろいろと違いが出てくると思います。
状況によって、時間的なズレはあるかとは思いますが、ほぼ元の生活に戻っていくまでの流れを追ってみたいと思います。
退院後~二週間くらい
退院時は、おそらく、軟らかめの消化の良い食事が提供されていると思います。術後、腸が落ち着いてきて、ストマから排泄できるようになってきているとは思いますが、急に、油ものや、ラーメンなど消化が悪い食事をとることは、下痢やイレウスなど調子を崩す可能性があるので、徐々に、消化の良いものだけの食事から、バランスの良い食事へシフトしていくとよいと思います。
食事は、常によく噛んでゆっくり食べることを心掛けて、便が水っぽくなったときは、水分をとって脱水にならないように注意した方がよいでしょう。
わたしの場合は、この期間は、ほぼ、米やうどんを野菜と一緒に煮た具だくさんのスープのようなものばかり食べていました。
おなかが張って苦労していたので、それしか食べられなかったといってもいい💦
退院後は二週間ほどで診察が予定されると思います。
経過の確認や、ストマの状況をストマ外来で診ていたいただきます。
その際に、食事の内容や、排泄の状況などを主治医に聞いてもらい、アルコールや、消化の悪いものを摂ってもよいか確認するとよいでしょう。OKされても、急に、たくさん摂らないように気をつけたほうがよいと思います。
運動についても、確認していくとよいです。
ストマとパウチが邪魔になりやすいので、扱いに慣れつつ、まずは、近所を散歩するような軽いものから始めるとよいと思います。
傷は、表面上は治っても、深部組織や、内臓の安定には時間がかかると思います。
プロ選手がケガから復帰するという場合でも、まずは、軽いメニューからトレーニングを再開している場面がニュースに流れると思います。
そして、なかなか、MAXの力でプレイしないし、急いで、MAXでプレイして、またケガするようなこともありますよね。治療痕が治癒し、そこから、元の100%ができるからだをそれよりも弱い力で再構築する必要があり、それには、相応の時間が必要だと思うのです。
主治医の「やっていいよ。」というのは、まさか、MAXで激しいことをするとは思っていないと思います。
「(徐々にリハビリ的な内容から、再開して様子を見ながら、)やってもいいですよ。」
と考えるのが自然だと思います。
傷は、おへそ回りとかが固かったり、ピリピリしたり、もりあがって肥厚性瘢痕(はんこん)になる場合もありますが、気になることは遠慮なく、主治医に相談し、ケアしながら、治っていくのを待ちましょう。
退院後~一か月くらい
生活は徐々に元に戻っていくと思います。
ただ、今までの経験は、ストマがなかった時の経験ですから、退院後、初めて行うことはすべて、ストマがあることを認識して、問題ないか、確認してから行うとトラブルがないと思います。少し頭の中で行程をイメージしてから、何か準備が必要なら、それを用意してから挑戦していくのがよいと思います。
ストマがある生活
ストマがあることで、手間が増えることもありますが、楽なこともあるので、一つ一つやり方を工夫していくと、活動の幅も広がって、できたときの達成感もあじわえます!
例えば、お風呂はシャワーだけがしばらく続くので、そのうち、湯船に浸りたくなってきます。
わたしは、春から初夏にかけてがストマだったので、それほどでもなかったですが、温泉好きの方とかは考えてしまうと思います。それも、工夫次第です。
「ストマパウチをつけて、湯船に浸かった話」で書きましたが、何をどういう順番で行っていけばよいか。ということをイメージしてからやると、意外に簡単です。
ストマ以外のあらゆることは、これまでの生活の中でからだにしみついていて、考えなくてもできるようになっていると思いますが、ストマ周りも同じです。
自分にあった、順番、方法を考えてやってみるといいと思います。
わたしはトライしませんでしたが、温泉も、防水シートでパウチ全体を覆ってしまうような方法で、ふつうに行けるようになります。
ストマ交換は、中2日とか中3日。皮膚の状況などを見て決めます。
回腸ストマは泥状便。水っぽくなることがあるし、ガスが充満することもあります。
安くないので、少しくらいいいかとがまんしがちですが、かゆみや違和感があったら、迷わず交換してみた方がよいと思います。
大事なところで漏れたり、皮膚がただれたりする方が、疲れますので。
ストマパウチは、自分に合うように調整していきます。個人差があると思いますが、ストマのサイズに応じて、パウチのサイズを変えたり、からだの凹凸に応じて、皮膚保護シールで調整したり、皮膚状況で皮膚保護パウダーをふりかけたり、状況によって、アレンジを加えていきます。わたしは、ストマの周りがただれやすかったですが、皮膚保護パウダーでなんとかなりました。また、へその近くが凹んでいるところから、面板がはがれやすかったですが、ひどくはなかったので、皮膚保護シールは試した程度で、慣れた後は、はがれてきたら、サージカルテープで押さえていただけでした。
退院後、職場復帰
人によっては、もっと早く職場復帰されているかもしれません。
わたしの場合は、入院~手術でかなり体力が落ち、10kg近く体重も落ちていましたから、術後一か月ほどでようやく、職場復帰(といっても、在宅ワーク)しました。
仕事柄、出社が必ず必要な方や、からだを使う業務については、退院後の療養期間中に、どの程度の作業が可能になるかということを確認していくとよいでしょう。
激しく動く作業や運動は、必ずしも不可能ではありませんが、工夫が必要になると思います。
ストマパウチが動きや汗などではがれないか?
服装がパウチを邪魔せず、動きやすいか?
といったことを、実際の作業や運動を想定して、事前に確認して、あらかじめ工夫しておいた方がよいでしょう。
あとはもう、「慣れ」です。骨折した時の松葉づえとかと同じようなモノですね。
一時的ストマの閉鎖
一時的ストマは、一時的なので、定期的な診察とストマ外来に通ううちに、ストマ閉鎖の話が出てきます。
直腸NETで外科手術の場合、遠隔転移なければ、通常は、抗がん剤や、PRRT(ペプチド受容体放射性核種療法)の集学的治療は行われませんので、比較的短期間で、おおむね3か月ほどで閉鎖する計画になると思います。
体調、仕事や家庭の状況を考慮して、少し閉鎖を遅らせる方もいらっしゃいます。
わたしの場合は、早く、最終形まで終わらせて、落ち着きたいと思っていましたし、主治医もそれを勧めてくれていましたので、2か月ほどでストマは閉鎖しました。
ですが、焦る必要はありませんし、多少、期間が長くなったからといって、その後への影響は、ほとんどないと思います。というより、排便障害が個人差が大きいので、ストマ期間の長さの影響ははっきりしない。というほうが合っているかもしれません。
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