直腸NET:再発・転移で性質が変わる可能性についての理解

直腸NET(神経内分泌腫瘍)は、ほとんどは、内視鏡切除、場合によっては、外科手術もふくめて、原発を切除して経過観察になります。

低いグレードでは、再発・転移の可能性は高くないと言われていますが、再発・転移をすると、性質が変わって、悪性度が増すことがあるらしいと言われることもあって、ときどき不安になります。

今回、「再発・転移で性質が変わるとはどういうことか?」とある方から質問をいただいたので、素人患者が、それっぽく解釈してみた内容を書いてみようと思います。

Ki-67値は「細胞たちの記念写真」のようなもの

まず、直腸NETのグレードにも使われている、悪性度を示すKi-67値について見ていきます。

Ki-67値が1%というのは、どういう意味でしょうか?

これは、がん細胞を検査したその瞬間に、「今まさに分裂・増殖しよう!」という状態(増殖期)にある細胞が全体の1%いた、という意味です。だから、実は、Ki-67だけでは、個々の細胞の分裂ペース(足の速さ)は分かりません。

しかし、Ki67が高い(例えば30%)ということは、写真を撮った瞬間に増殖しようとしている細胞がたくさん写っていた、ということです。偶然たくさんの細胞が同じタイミングで増殖期になることは考えにくいため、「全体として増殖の勢いが強い(ペースが速い)のだろう」と推測はできます。でも、それだけです。

がんは「性質の違う細胞のチーム」

ここからが本題です。腫瘍は、実は均一なのっぺりした塊ではありません。「のんびり増える細胞」や「せっかちにどんどん増える細胞」など、性質の違う細胞たちが集まったチームのようなものです。

仮に、2種類の細胞がいると想像してみましょう。

  • のんびりチーム:1年かけて2倍に増える
  • せっかちチーム:半年で2倍に増える(1年で4倍になる)

最初は「のんびり5,000個」と「せっかち5,000個」の合計10,000個の腫瘍だったとします。
 1年後、どうなっているでしょう?

  • のんびりチームは → 10,000個に
  • せっかちチームは → 20,000個に

合計は30,000個になり、全体では3倍に増えています。
ここで大事なのは、チーム内の勢力図が変わっていることです。 最初は半々だったのに、1年後には「せっかちチーム」が全体の3分の2を占めるようになります。

せっかちな細胞の割合が増えれば、当然、写真を撮ったときに増殖中の細胞が写る確率も高くなります。つまり、腫瘍が大きくなる過程で、自然とKi-67値も上がっていく可能性があるのです。これが「腫瘍が大きくなると、やっかいなことになる」というイメージの正体かもしれませんね。

手術後の「再発」を考えると…

この考え方は、手術後の再発を考えるときにも当てはまります。
 (私たちの場合は手術で取り切れているので心配無用ですが、あくまで仮の話として)

もし手術で取り切れなかった細胞が少しだけ残ったとします。
その残った細胞は、どんな性質の細胞でしょうか?

ただの「のんびりチーム」の残りかもしれません。その場合、再び大きくなるのには、また非常に長い時間がかかります。
しかし、手術や人間の免疫という厳しい環境を生き延びた「エリート細胞」である可能性もあります。

その「しぶといヤツ」が、もし「せっかちチーム」だったらどうでしょう?

再出発するチームは、最初から「せっかちチーム」の割合が非常に高い状態からスタートすることになります。 そうなると、再発した腫瘍は、元の腫瘍よりも成長ペースが速く、Ki-67値も高くなる、ということが想像できます。

いかがでしょうか。 あくまで専門家ではない私の想像ですが、こう考えるとKi-67値という数字の意味や、がんの性質が少しイメージしやすくなるかなと思いました。

さいごに

イメージできたら、余計に不安になってきたかもしれません。でも、私たちのからだには、手術という最高の治療とは別に、生まれながらにして持っている最強の味方がいます。それが、私たち自身の免疫力です。

免疫細胞たちは、まるで優秀な警備隊のように、毎日休むことなく体の中をパトロールして、異常な細胞を見つけては退治してくれています。手術で腫瘍という大きな「敵の本拠地」がなくなった今、たとえ数個の細胞が隠れていたとしても、状況は全く違います。
免疫の警備隊は、隠れている細胞を見つけ出し、完全に撲滅してくれます。あるいは、その活動を徹底的に抑え込み、増殖できないように監視し続けます。 いわば「冬眠」状態にして、無力化してしまうのです。

そして、この素晴らしい免疫という「自分自身の力」は、私たちの心や体の状態と深くつながっています。よく笑い、美味しいものを食べ、ぐっすり眠り、元気に過ごすこと。その一つひとつが、免疫という警備隊をどんどん強く、優秀にしてくれる最高の応援になるんです。

ですから、手術で大きな塊がなくなった今、過度に心配する必要は全くありません。 これからは自分自身の素晴らしい治癒力や免疫力を信じて、毎日を楽しく過ごすことこそが、最高の力になるのだと思います。

コメント

このブログの人気の投稿

直腸NET 内視鏡で切除した結果が出たら

大腸内視鏡検査で、直腸にカルチノイドがあると言われたら

直腸NETのセカンドオピニオンと転院:経験者から聞いたポイントと注意点