直腸NETのセカンドオピニオンと転院:経験者から聞いたポイントと注意点
直腸NET(神経内分泌腫瘍)と診断され、特に内視鏡で切除した後に「追加で外科手術が必要か」という大きな決断を前に、不安や迷いを抱えている方は少なくないでしょう。
「今の主治医の方針だけで決めて良いのだろうか?」 「もっと専門的な意見を聞いてみたい」
そんな時、セカンドオピニオンや専門病院への転院は、ご自身が納得して治療を進めるための重要な選択肢となります。
わたし自身は、治療方針にさほど悩む状況ではなかったことや、主治医を信頼しておまかせすることができたので、実際にセカンドオピニオンや転院を経験した患者仲間たちの実体験をもとに、そのプロセスや注意点をまとめました。
※この記事は、患者さん個人の体験談をまとめたものであり、医学的な助言ではありません。治療に関する最終的な判断は、必ず主治医とよく相談の上で行ってください。
なぜセカンドオピニオンや転院を考えるのか?
多くの患者さんが、以下のような理由でセカンドオピニオンや転院を検討しています。
- 治療方針への迷い: 内視鏡切除後、「追加の外科手術を推奨する」と言われたが、本当に必要か迷っている。
- 専門医への相談: 直腸NETは希少がんのため、より多くの症例を診ている専門医の意見を聞きたい。
- 診断結果への不安: 切除した腫瘍の病理結果(Ki-67指数、グレードなど)から、今後のリスクをより正確に知りたい。
経験者の多くが、専門医に相談することで「モヤモヤが晴れた」 「納得して次の治療に進めた」と語っており、たとえ手間がかかったとしても、その価値は大きかったと感じています。
手続きの重要ポイント:経験者からのアドバイス
セカンドオピニオンや転院をスムーズに進めるためには、いくつか重要なポイントがあります。特に、多くの患者さんが名前を挙げる国立がん研究センター中央病院を例に、注意点をみていきましょう。
1. 「セカンドオピニオン」か「転院(受診)」か?目的を明確に
これは最も重要な注意点です。現在の主治医に紹介状を依頼する際、目的がどちらなのかを明確に伝える必要があります。
- セカンドオピニオン: 今の病院で治療を続けることを前提に、治療方針について意見だけを聞きたい場合。
- 転院(受診): 専門病院で検査や治療を受けることを希望する場合。
経験談によると、「セカンドオピニオンのつもりで病院に行ったら、紹介状が『転院』になっていて受診できなかった(逆のケースも)」ということが実際に起こり得ます。病院の窓口は手続きに厳格なため、紹介状を書いてもらう際に、ご自身の希望をはっきりと伝えましょう。
もう一つ知っておきたいのは、最初から「転院」を希望しても、必ずしも受け入れられるとは限らないという現実です。
ある患者さんは、希少がんホットラインに転院希望を伝えたところ、「現在の大学病院で手術が可能であるため、転院は難しいだろう。まずはセカンドオピニオンを受けてみては」と、伝えられたそうです。状況によっては、まずセカンドオピニオンで専門医との接点を作り、その診察の中で転院の相談をする、という段階的な進め方が最も現実的な道筋になることもあります。
2. どの診療科に相談すべきか?
紹介状には、受診したい診療科を明記してもらう必要があります。ご自身の状況に合わせて選びましょう。
- 内視鏡科: 内視鏡での切除(ESD/EMR)や、その後の経過観察、追加手術が必要かの判断について相談したい場合。
- 大腸外科: 追加の外科手術について具体的に相談したい場合。
- 消化器内科: 薬物療法(化学療法など)について相談したい場合。
どの科に相談すればよいか分からない場合は、後述する「希少がんホットライン」に電話して相談してみるのが良いでしょう。
3. 病理標本の再評価(再病理)
セカンドオピニオン先の病院では、最初にかかった病院で切除した組織(病理標本)を取り寄せ、改めて評価(再病理)を行うことが一般的です。
これにより、Ki-67の値などが変わり、治療方針の判断に影響することもあります。経験者の中には、再病理の結果、より納得して手術の決断ができたという方もいます。これはセカンドオピニオンを求める上で非常に重要なプロセスの一つです。
国立がん研究センター中央病院では、再病理は病理相談外来の方が窓口となっており、再病理を希望する場合は、こちらからアプローチすると良いようです。
4. 現在の主治医への伝え方
「セカンドオピニオンを受けたい」と伝えることに、気まずさを感じるかもしれません。しかし、患者が別の医師の意見を求めることは、当然の権利です。
「希少がんなので、専門の先生の意見も聞いて、納得した上で今後の治療を決めたいと思っています」など、前向きな理由を正直に伝えることで、多くの医師は協力してくれます。
5. 困ったときの相談窓口
一人で抱え込まず、利用できる窓口を頼ることも大切です。
希少がんホットライン 希少がんまたは希少がんの疑いのある患者さんやご家族、希少がん診療に関わる医療者など(以下、相談者)が、希少がんに関して相談できる電話相談窓口です。セカンドオピニオンの手続きや、どの科を受診すればよいかなど、具体的な相談ができます。ソーシャルワーカーなどが対応してくれます。
国立がん研究センター中央病院 セカンドオピニオン外来 手続きの詳細が記載されています。
国立がん研究センター中央病院 病理相談外来 セカンドオピニオンとは別の窓口となっています。
直腸NET情報交換会 直腸NETを経験したわたしたちはあとに続く皆さんを応援しています。セカンドオピニオンや再病理診断を受けられた方々もおり、手続きの流れやその実体験を情報交換しています。今回書いた経験談について、詳細に聞きたい場合はご連絡ください。
さいごに
セカンドオピニオンや転院は、時間もお金もかかり、精神的もに大変なプロセスかもしれません。しかし、多くの患者仲間が「行動してよかった」と語っています。大切なのは、ご自身が持つ不安や疑問を解消し、納得のいく治療法を選択することです。この記事が、その一歩を踏み出すための助けとなれば幸いです。
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